昨夜アップ出来なくてすみません。本当に何で寝ちゃうんだ、私！

クリスマス過ぎて本当に申し訳ない。とりあえずこれだけは今日中に仕上げます。

仕事終えたら書くぞ！

｢えっと…あとここで白いのにして…｣

通常なら円堂はとうに寝ている時間だが、何やら黙々と作業を続けていた。

｢あ～、大丈夫かな？これ｣

はぁ…と溜息をつきながら眺めるのは自分の手元にある毛糸だ。

学校では気恥ずかしいし、自分の柄ではないしで出来ないので、こうして帰ってから少しずつ始めたのが、この編み物であった。

どうしてこうなったのかと言うと、部活後の特訓がない為、早く帰るようになり暇を持て余していた娘に母が言った言葉に始まる。

｢もうすぐクリスマスなんだし、彼氏に手編みくらい作ったらどうなの？奇跡的に鬼道くんという立派な彼氏があんたにもいるんだし｣

と。言われた時は奇跡的って…と思ったが事実その通りなので反論はしない。

まったく、鬼道は自分の何処を気に入って告白なんてしたんだろうか、と今でも思う。

それに言われてみれば恋人らしいことなど何一つしてきていないし、手作りのものなんてそれこそ一つも渡したことが無かった。

そんな自分への反省も込めて母親の提案を受け入れ、初心者にはまずマフラーと教えてもらいながら編んできたのだ。

練習用の一枚が編み終わり、いざ本番と意気込んで編んでいるうちに段々と不安になってきていた。

(鬼道の家はお金持ちだし、マフラーなんて凄くいいやつがいっぱいあるよな。それなのに俺が贈ったりしたら困るんじゃないかな？)

鬼道に編んでいる毛糸は練習用とは比べものにならないくらい高くて(毛糸の値段があんなにピンキリあるなんて知らなかった)肌触りもふかふかのだが、鬼道は絶対これよりずっといいやつを持っているだろう。

今更ながら後悔したが、それにしたって後戻り出来なかった。
もうおこずかいはこの毛糸で使ってしまったから、他のを買う余裕はないし、他のを作るにしても時間もない。

何より完成間近のマフラーにも何だかんだで愛着も沸き、今更解くことも出来なかった。

(自分で使おうかな、これ)

それも悲しい気もしたが、そうした方がいい気もする。

(うん、そうしよう。その方がいい！)

そう決意して完成まで漕ぎつけたのだが…。


｢守～、マフラーちゃんとラッピングしたから持って行くのよ｣

クリスマス当日。

既に学校は冬休みに入っていたが部活があるので用意していると母親から予想外の言葉が投げ掛けられる。

｢ラッピング？｣

｢そうよ。あんた完成したやつ、そのまま渡す気だったでしょ。部屋に置きっぱなしだったから、ちゃんと紙袋に入れてリボン付けたわよ｣

｢母ちゃん、それ…｣

ニコニコと微笑む母に悪気はなく、純粋に娘の頑張りと恋の行方を祝福しているのがわかるだけに何も言えなくなってしまう。

｢頑張ったわね、守。鬼道くん、絶対喜んでくれるわよ｣

｢う、うん。行ってきます｣

ラッピングされたそれを持っていかないわけにはいかず、バッグの奥にぐしゃぐしゃにならないように入れると、無理に笑顔を作って家を出た。

｢緊張しているのかしら、あの子…｣

そんな浮かない様子の娘が気に掛かったが、付き合い始めた頃に自分達に挨拶してきた鬼道の誠実さを思い出し、後は娘の出来た恋人に任せることにした。



練習は皆、今日がクリスマスということもあって、どこか浮き足立っていたが、染岡の一喝と常と変わらぬ鬼道のスパルタな練習内容に集中し始め、終わり頃にはへとへとになるくらい没頭していた。

そんな部員達にマネージャー達からの細やかなクリスマスプレゼントとばかりにクッキーが渡され、歓声が上がる。

中には｢女子から貰うのは初めてだ｣と感涙するものもいて、皆に慰められていた。雷門ならではの暖かい光景だ。

一方円堂はと言うと、練習中は練習に集中していたが、終わってみるとどうしようと一気に悩み出してしまう。

鬼道は妹から貰ったクッキーを大事そうに鞄にしまっていて、自分もそうすれば良かったと今更思ったところで遅かった。

マネージャー達のようにお菓子とかなら残らないのに、これは残るし重いとか言うのを(誰が話していたかは忘れたが)聞いたことがある。

(…失敗したかも)

思わず大きな溜息が出てしまう。

その息すら白く証拠のように立ち上って消え、更に気持ちを憂鬱にさせた。




続きます。

次こそ終わります。すみません。
何かクリスマスにそぐわない後ろ向きな守ちゃんで再度すみません。次こそはラブラブに！

はい。前回の守ちゃんの疲労の原因は？の問題はマフラーを編んでたからが答えです。編み物って目が疲れるから、すぐ眠くなるんですよね。

[27回]