大人版鬼円です。今回も円堂くん視点です。

同棲始めてからの二人の日常(？)の様子です。

あ！ご質問でありましたがイナイレ選手名鑑2は11月26日に発売されました。その発売日に購入しました。

来月は劇場公開に合わせて小説なども出るみたいですね。こちらも購入予定です。

(あ……もう朝か)

少しだけ気怠さを感じながらベッドから起き上がると隣に寝ていた鬼道が少しだけ身動ぎした。

今朝は肩に腕が置いてあっただけだから簡単に抜け出せたけど、これが抱き込まれていると中々出られなくて下手すると鬼道まで起こしてしまうから難しい。本当に運次第で朝っぱらから、その日の最初の試練みたいなものだった。

鬼道を起こしてしまうと、それはそれで厄介なのもあるけど、やっぱり少しでも長く寝かせてやりたいと言うのが本心だ。
何しろ朝から晩まで仕事で忙殺されているのだから家にいる時くらいは休ませてやりたかった。

…まぁ、夜はもしかしたら俺の方が大変かもしれないけど、鬼道だって……って、そんな話はよくて、俺が目覚ましいらずで起きられるのは、まだ選手だった頃の合宿中とかルームメート達を起こさずに早朝練習していた賜物かもしれない。アラームを鳴らしたら絶対に鬼道を起こしてしまうだろうし。

そうして起きた俺はパジャマの上にカーディガンを羽織ると寝室を音を立てないよう気を付けながら出た。そのまま台所へと向かう。

まだ足は引きずりながらだけど大分良くなってきていて長時間立っていても大丈夫になってきていた。

現役時代とは比べものにならないくらい体力も筋力も落ちていて、鬼道に心配ばかりかけているが、段々と出来ることが増えてきていた。それがすっごく嬉しい。

これもそうして出来るようになった事の一つだ。

台所に着くとエプロンを付けながらコンロに火をつけた。
今から昼のお弁当を作りながら朝食も作るのだ。

朝食は前から作ってたけど鬼道が昼も食べずに仕事をして早く帰ろうとすると佐久間から聞いたので手軽に食べられる弁当を作ったら、予想以上の効果があって鬼道からだけでなく佐久間や源田からも感謝と賛辞を受けたのだ。

聞いた話ではかなり鬼道の機嫌が良かったとの事で是非とも続けてくれと頼まれ、鬼道からもお前の弁当があれば生きていけると何ともしみじみと語られ、会社って大変なんだなと改めて思ったものだった。

そんな中いつも鬼道と行動を共にしているはずの秘書の佐久間や、他の仕事もあるのに何故か運転手までさせられている源田のお昼は鬼道が弁当になってどうしているのか聞いてみると、コンビニ弁当で間に合わせていると聞いたので、良かったらと申し出て二人の弁当も作ることになった。
佐久間は鬼道と同じ弁当かと喜んでいたし、源田も悪いなと言いながらも、これで昼はまともなものが食えるなと感謝された(普段、一体何を食べてるんだろう？)。

確か仕事の関係でこの二人も同居していたはずだ。そして、その隣の部屋にいるのが不動で、一人で暮らしていた。
不動は今、鬼道のグループの傘下の研究所で働いているが、そのリーダー的存在で功績が認められて、独立も出来るのだが、経済的な理由からそのままでいるらしいと鬼道から聞いた。

相変わらずの性格で鬼道達とも歯に衣着せぬ会話で周りがはらはらするほどだとか。…本当に変わってないみたいだな。

その不動が弁当を持った鬼道を見て、いいよなぁ、愛妻弁当。俺も食ってみたいねぇ？とからかったみたいで、源田から聞いた俺が不動も食べるか？と言ったら、そういう意味で言ったんじゃねーんだけど、と言いながらも一口食べて弁当が気に入ったみたいで、これで昼食代が浮くなと言われた。

それは多分これからも頼むって意味だと思って(それが正解だったみたい)、今では鬼道の他に佐久間と源田と不動の分も作っていた。それについて鬼道は何か言いたそうな顔をしていたけど結局何も言わなかった。

鬼道としては、また無理をするなとかそういう事が言いたいんだろうけど、俺は少しは鬼道の役に立てたようでそれが嬉しかった。


｢頼むからもう別れてくれるなよ！｣

鬼気迫る表情の佐久間からそう念を押されたのは復縁して間もない頃だ。

｢なんか…苦労したみたいだな｣

半ば呆気に取られながらもそう答えた俺に佐久間は、もうあんな憔悴した鬼道は見たくないんだと溜息混じりに告げた。




続きます

円堂くんの朝は早いです。弁当四人分って結構大変だと思いますよ。鬼道さん、いい奥様を持って…(え？)。多分もう二度と離さないと思います。

[19回]