意外にもご好評頂いた未来編の続きみたいな話です。また半田視点です。名前だけですが鬼道夫婦の子供が出るので要注意です。

この∬設定自体は楽しいんですが嫌悪感を持たれる方も当然いらっしゃると思うので(いやまだ何も言われてませんよ！)これで終わりにした方がいいかな？と思っています。

俺は平穏な日々を望んでいるはずなのに何の因果か、そんな日々は遠いらしい。

今日も授業の後、訪ねて来た人物を見て、それを痛感した。

｢半田、久しぶり！｣

色褪せない思い出の象徴とも言える、サッカー部時代のキャプテン・円堂守。

今は当時のチームメイト(当初は最強のライバル)だった鬼道有人とめでたく結婚し、鬼道姓になっているが、どうも円堂の印象が強く、紛らわしいので(旦那の目があるので名前で呼ぶわけにもいかないしな)仲間達は円堂と皆呼んでいたし、俺もそうだった。

｢円堂…。お前って本当に変わらないよな｣

何でそんなに変わらないんだよ？俺がお前の女友達なら99%の羨望と1%の殺意を覚えそうな程、外見も中身も殆ど大学くらいから変わってないよな。下手すりゃ高校生でも通じるかもしれない。高校生でも年配に見られる奴もいるしな。

まぁ、その高校時代と比べると人妻ということもあってか、色気は増したよな。…旦那には内緒だけど。

｢何だよ。半田だってそこまで変わってないだろ？｣

｢お前程じゃねーよ｣

俺も童顔だとよく言われるが、こいつとは比べようもなかった。

｢今日はどうしたんだよ？｣

｢ああ。FFIの練習場所が雷門に決まったから夏未に挨拶しに、ちょっと来たんだ｣

｢そういやメンバー選抜終わったんだったな｣

連盟は今回の大会に円堂を監督に任命したらしく、円堂はメンバー選考やら何やらで、ここんとこ忙しかったらしい。

そうしてやっと決まったメンバーにはここ雷門からの選手も多く、中でもキャプテンは…。

｢キャプテンは修人になったんだってな｣

それも当然かと思う。メンバー内での選挙が一応あったが最初から決まっていたようなものだ。

…なんせアイツと来たら父親譲りの知略に母親譲りの根性があるからな。

しかも常に冷静で冷たく見られがちだが意外と面倒見もいいから人望もある。

まさに完璧なキャプテンだと俺は思う。…妹が絡まなければ！

｢うん。それがさ修人からいきなり『監督』なんて呼ばれてビックリしたの何ので｣

｢そりゃ当然なんじゃないか｣

｢そうなんだけどさ。仕方ないんだけど何か他人行儀に感じちゃうだろ。そしたら修人に『公私の区別を付けなければ、大変なのは母さんなのだから我慢して欲しい』って言われちゃって｣

いや、そりゃお前、普通立場逆じゃねぇ？

普通は子供がそう感じるのを親が諭すんじゃないのか？

そんな事を語っていた円堂が突然くすっと笑った。

笑うと一段と可愛いのも変わってないよな。

｢どうしたんだよ？｣

｢いや、何かその言い方が本当に父親そっくりでさ。困ったように八の字に眉をひそめて、でも目は優しくて…。口調も言っていることの割に柔らかくてさ。そんな風に言われちゃうと何にも言えなくなっちゃうなぁと思って。昔からさ｣

｢もしかして…惚気られてるのか？｣

何か聞いてるだけで、ご馳走さまな感じだ。

言っておくけど俺、独り身だから！

独り身には本当に淋しい話だからな、それ！

｢惚気？なんで？｣

｢無意識かよ｣

そこまで変わってないのかよ？…まあ、円堂だしな。

そこで俺が溜息をつくのと校内放送のチャイムが鳴るのが同時だった。

『お知らせ致します。鬼道守様、いらっしゃいましたら理事長室までお越し下さいませ』

｢…あれ？まだ約束の時間じゃないのに｣

｢雷門がお前がもう来てると知って待ちきれなくなったみたいだな。行ってやれよ｣

ここで行かせなかったら、俺の身が危ない。

主に給料とか手当とかボーナスとかだ。いやもう本当に切実に。


じゃあなと別れた円堂の背中を見ながら、変わっていく世の中で変わらないものがあるのもいいことなんだなと思った。

まぁ、俺の中途半端さも変わらないだろうけどな。


…いや、そこは少し直すべきか。

廊下の曲がり角で放送を聞いたのか兄妹が母親と合流するのが見えた。

…どう見ても親子と言うより年の離れた姉弟なんだよな。

変わらなすぎも問題なのかもしれない。




END


半田くん再登場！勝手に独身にしてごめん！

修人くんはシスコンだけど(断言)ご家族大好きっ子なので両親のことも大好きです。

あ、オリキャラなので改めてご紹介しますが修人くんは未来鬼円♀夫婦の長男です。

[11回]